洗濯物をたたむ時間が憂うつになるのは、シワや型崩れが出て後から着づらくなるからです。
けれども、たたみ方には再現可能なルールがあります。
この記事では、洗濯物をたたむ時に気をつけることをプロの現場で使われる手順に落とし込み、誰でも実践できる形で解説します。
シワゼロと型崩れなしを両立しながら、時短まで叶うたたみ方を具体例と表でまとめます。
洗濯物をたたむ時に気をつけることを知りたい人へ
最初に押さえたいのは順番と環境です。
取り込みからたたみ始めるまでの時間、作業台の高さ、手の乾き具合が仕上がりを左右します。
衣類の素材に合わせて扱いを変えると、同じ手数でもシワと型崩れは激減します。
基本
洗濯物をたたむ基本は「面を整えてから折る」ことです。
手で引っ張るのではなく、手のひらで軽く押して生地の歪みを平らにしてから折り目を作ります。
作業は腰の高さの台で行い、空中でのたたみは避けると均一な圧がかかります。
取り込み後は温かいうちに着手すると繊維が柔らかく、折り目がつきやすくなります。
一枚ずつ全方向にパンパンせず、縦方向だけ軽くはたくと余計な波打ちを防げます。
素材
素材ごとに伸び方と戻り方が異なります。
同じルールでたたむと、ある素材ではシワが増え、別の素材では伸びが戻らないことがあります。
下の表を参照して、素材の特性に応じた力加減や折る幅を決めましょう。
| 素材 | 注意点 | たたみ方のコツ |
|---|---|---|
| 綿 | シワが残りやすい | 面を手のひらで圧し伸ばし、幅を一定に三つ折り |
| ポリエステル | テカリと静電気 | 摩擦を減らし、軽圧で二つ折り後に縦三つ折り |
| ウール | 伸びと型崩れ | 吊らずに平置きで袖を畳み入れ、厚みを保つ |
| リネン | シワが味になりやすい | 粗シワは整える程度に、折り回数を少なく |
| ニット | 肩落ち | 肩線を合わせて身頃を包むように折る |
順番
たたむ順番を固定すると迷いが減り、仕上がりが均一になります。
下のリストを基準に、家の量や種類に合わせて微調整すると無理がありません。
- バスタオルなどの大物を先に処理して作業スペースを確保
- シャツやトップスは同カテゴリで連続してたたみ幅を統一
- ボトムスはベルトや紐をしまう→丈を半分→三つ折り
- 下着・靴下はペアリングを先に済ませる
- 最後にデリケート素材やニットを平置きでゆっくり
環境
乾き切っていない衣類は水分が動き、折り目が戻りやすくなります。
完全に乾かしてから始める、または霧吹きで一度全体を均一に湿らせてから整えるなど、湿度をコントロールします。
手が乾燥していると生地を引っかけやすいので、作業前に無香料のハンドクリームを薄く伸ばすと滑りが安定します。
静電気が気になる季節は、作業台に薄手のコットンクロスを敷くと摩擦が減ります。
収納
美しくたたんでも収納方法が合っていないと崩れます。
引き出しは「立てる収納」を基本にし、幅をそろえてブックエンドのように自立させると出し入れで崩れません。
高さは引き出しの半分以下にして上から全体が見えるようにすると、取り出しでの引っ掛かりが減ります。
同色・同素材を並べると摩擦が均一になり、形も保ちやすくなります。
シワゼロをかなえる手順
シワを作らない鍵は「温度」と「面取り」です。
乾いた直後の余熱や、軽い蒸気をうまく使うとアイロンいらずの仕上がりになります。
折り目の位置を一定にして、圧をかける回数を減らすのもポイントです。
前処理
取り込んだ直後に山積みにせず、肩線や裾線を合わせて一旦「面を整える」だけでもシワは大きく減ります。
ハンガーで一振りして肩の膨らみを整え、袖の縫い目をつまんで真っ直ぐにしてから台へ移します。
霧吹きでミストを全体に一吹きし、手のひらで押さえてからたたむと細かい縦ジワが消えます。
乾燥機上がりは温かいうちに、部屋干しはサーキュレーターで完全乾燥を確認してから始めます。
折り目
折り目の基準が曖昧だと、毎回サイズが変わり、引き出し内で倒れます。
下の表で、よくある衣類の折り位置の目安を確認し、家族で共通ルールにすると再現性が上がります。
| アイテム | 基準線 | 折る位置の目安 |
|---|---|---|
| Tシャツ | 肩線と脇線 | 脇線内側で袖を折り入れ、裾を衿から三等分の1に合わせて折る |
| シャツ | 前立てとヨーク | ボタンを留め、袖を身頃幅に収めて三つ折り |
| タオル | 長辺の中央 | 長辺を半分→短辺を三つ折りで同じ幅に |
| ボトムス | サイドシーム | 股上を整えて半分→ウエストから三つ折り |
速さ
スピードは雑さではありません。
手数を減らす段取りが、結果として速く美しく仕上がる近道です。
- カテゴリ別に山を作り、同じ動作を連続させる
- A4台紙や手幅ガイドを使い、幅決めを一発で終える
- 引き出しの奥行きに合わせて折り幅を固定する
- ペアリングが必要な靴下は最初に揃え、口ゴムは重ねるだけ
- ハンガー行きの衣類はその場で掛けてテーブルに戻さない
型崩れを防ぐ方法
型崩れは「重力」と「テンションの偏り」で起こります。
たたむ時に無理な引っ張りを入れず、厚みを残すことが安定につながります。
保管中にかかる圧力を分散させる工夫も合わせて行いましょう。
厚み
ペタンコにするほど綺麗に見えても、繊維は押し潰されてヨレの原因になります。
三つ折りの最後は押さえ込まず「置く」程度にし、空気層を少し残すと復元力が保たれます。
ニットやスウェットはA4台紙や雑誌をガイドにして畳み、抜き取ると均一な厚みになります。
袖やフードは内側に包み込むだけにして、強く巻き込まないのがコツです。
衣類別
アイテムごとに、守るべき形があります。
次の表をもとに、崩れやすいポイントを先回りして畳み方を選びましょう。
| アイテム | 崩れやすい部位 | 推奨たたみ |
|---|---|---|
| パーカー | フード・肩 | フードを背側へ平らに広げて包み、肩線を揃えて三つ折り |
| カーディガン | 前立て | ボタンを留め、前立てを重ねず面を合わせて二つ折り |
| スラックス | センタープレス | 折り目を合わせて半分→三つ折りで折山を保護 |
| スポーツウェア | 裾ゴム・プリント | プリント面を内側にし、圧をかけすぎない二つ折り |
保管
保管での型崩れは、スペースの過不足が主因です。
引き出しに対して八割収納を目安にし、詰め込み過ぎは圧で潰れ、スカスカは倒れてヨレが出ます。
- 仕切りやブックエンドで列を固定する
- 重いものは下段、軽いものは上段に配置
- 季節外は立体のままケースに入れて圧縮しない
- 防虫剤は規定量を守り、空気の流れを確保
家族で続く仕組み
一人だけが完璧に畳んでも、家族の出し入れで崩れてしまっては意味がありません。
誰がやっても同じ結果になる「仕組み化」が継続のコツです。
役割、サイズ基準、ルールの三点で統一しましょう。
役割
工程ごとに担当を分けると、家事の属人化が解消されます。
小学生でもできるタスクと大人が向くタスクを切り分け、無理なく参加できるようにします。
- 取り込みとカテゴリ分けは全員で実施
- 台紙を使う衣類は大人、タオルや靴下は子ども
- 収納は本人の引き出しへ各自が戻す
- 週末に乱れチェックと列の立て直しを共同で実施
サイズ
子ども服はサイズ変化が速く、同じ幅で畳むと崩れやすくなります。
引き出しの奥行きと身幅の関係を表にして、畳み幅の目安を共有しましょう。
| サイズ | 目安身幅 | 畳み幅 | 収納向き |
|---|---|---|---|
| 90–110 | 28–32cm | A5相当 | 縦置き |
| 120–140 | 33–37cm | B5相当 | 縦置き |
| 150–S | 38–44cm | A4相当 | 縦置き |
ルール
家族全員が同じルールを理解していると、崩れの原因が減ります。
「幅」「向き」「順番」の三点だけを可視化して、引き出しの手前に小さなカードで貼っておくと迷いがなくなります。
戻すときは列の一番後ろに差し込む、倒れたら右から詰め直すなど、具体的な動作に落とすのがコツです。
洗濯物をたたむ時に気をつけることの要点
面を整えてから折る、素材に合わせて力加減と回数を変える、収納の幅と向きを固定する。
この三点を守るだけで、シワゼロと型崩れなしは十分現実的になります。
家族で同じ幅と順番を共有し、仕組み化すれば、毎日のたたみ時間は短く、仕上がりはいつも同じになります。
