この記事では「ダイソンの吸引力は何Paか」という疑問に、公式の表記方法と第三者計測の数値を整理してわかりやすく解説します。
ダイソンは基本的に吸引力をパスカル（Pa）ではなくエアワット（AW）で公表しているため、単純な換算はできません。
ただし第三者の検証では、コードレス機でおおむね15〜18kPa前後、コード付きアップライト機では20kPa台半ばという実測例が報告されています。
ダイソンの吸引力は何Paかを正しく理解する
最初に押さえたいのは、ダイソンが公式にはPaではなくAW（エアワット）で性能を示している点です。
例えば最新世代のGen5 Detectは262AW、V15 Detectは約230〜240AWと案内されますが、AWは気流量と圧力の積に相当する指標で、Paとは物理的に別物です。
一方、実際の吸い込み圧を示すPa（kPa）は、第三者レビューで「密閉時の静圧」や「非密閉時の引き上げ力」として示される場合があります。
代表的な計測では、V15 Detectの密閉吸引で約124 inH₂O（約31kPa）、非密閉時で約17.6kPa、V12/V10の最大ホース吸引で約16〜18kPa、Ball Animal 3 Extraの最大ホース吸引で約24.8kPaという例があります。
以下で、Paで知りたい人がつまずきやすいポイントと実測の目安、機種選びの着眼点を具体的に解説します。
公式指標を知る
ダイソンは吸引性能をPaやkPaでは開示していません。
公式サイトやカスタマー回答でも、AW（エアワット）での表記を採用し、PaやkPa/PSIでの数値は提供していないと明言されています。
たとえばGen5 Detectは262AW、V15 Detectは約230〜240AWと紹介され、同じ「吸引力」でもAWとPaは定義が異なるため、単純換算は不正確になります。
まずは「ダイソンはAWで見る」のが前提と覚えておくと、モデル間比較がしやすくなります。
実際、米Dysonの公式ページやV15のQ&Aでは、この点が繰り返し説明されています。
実測kPaの目安
Paでの目安を知りたい人向けに、信頼できる第三者レビューの実測例を整理します。
V15 Detectは密閉時の静圧が約124 inH₂O（約31kPa）、非密閉の引き上げは約17.6kPaと報告されています。
また、Rtingsの計測ではV12 DetectやV10の最大ホース吸引が約16〜18kPaのレンジ、コード付きのBall Animal 3 Extraは約24.8kPaという結果です。
このことから、ダイソンのコードレスは「実使用に近い状態」で15〜18kPa前後、コード付きは20kPa台中盤が目安と考えてよいでしょう。
ただし床用ヘッドの種類や密閉条件で数値は変動します。
数値の読み方
Paは「圧力」、AWは「圧力×流量」を表すため、本質的に別の性能指標です。
掃除の体感に近いのは、ヘッド形状や密閉性、気流設計といった要素も絡むAW側の総合力で、Paが高ければ必ずしも集じんが優れるわけではありません。
第三者によるkPa測定は、密閉（sealed）と非密閉（unsealed）で結果が大きく変わる点にも注意が必要です。
製品選びでは、AWやヘッドの種類、フィルtration、重量、運転時間など複数要素を合わせて見比べるのが賢明です。
主な数値の比較表
代表的なモデルの公称AWと、第三者実測のkPaの目安をまとめます。
| モデル | 公称吸引指標 | 第三者の実測例（参考） |
|---|---|---|
| Gen5 Detect | 約262AW | —（kPa未掲載の例が多い） |
| V15 Detect | 約230〜240AW | 密閉約124 inH₂O ≒ 約31kPa／非密閉約17.6kPa |
| V12 Detect | 約150AW | 最大ホース吸引 約18kPa前後 |
| Ball Animal 3 Extra | — | 最大ホース吸引 約24.8kPa |
上表は複数ソースの代表値を要約したもので、計測環境によって変動します。
要点
Pa至上で選ぶと本質を外しやすいので、AWと使い方の両面で判断するのがコツです。
- ダイソンはPaではなくAWで性能を公表している。
- コードレスの実測kPaはおおむね15〜18kPa、コード付きは20kPa台中盤の報告が多い。
- 密閉・非密閉、ヘッドの種類で数値は大きく変わる。
- 集じんはAWやヘッド設計、気流、シール性など総合力で決まる。
- 比較時はAW、運転時間、重量、付属ヘッドもあわせて確認。
数値の違いが生まれる理由を知る
同じ「ダイソンの吸引力は何Paか」を調べても、レビューごとに数値が違うのはなぜか。
ポイントは「どこを」「どう測るか」です。
密閉状態の静圧は理想条件に近く、非密閉やヘッド装着時は掃除の実態に近いが低い値になりがちです。
さらにヘッドの形状、ローラーの抵抗、密閉性、モード設定（エコ／オート／ブースト）、集じんの進行度によっても変わります。
測定条件の影響
密閉測定は最大ポテンシャルを示し、非密閉やヘッド装着時は実使用の手応えに近い指標です。
V15 Detectの例では、密閉で約31kPaに達する一方、非密閉では約17.6kPaと大きな差があります。
この幅を理解しておくと、実際の体感とスペック表のギャップに納得がいき、用途に合わせた正しい機種選びにつながります。
「最大値だけ」を盲信せず、レビューの条件欄を確認しましょう。
比較の着眼点
Paでの比較に固執せず、AWやヘッド、運転時間など総合バランスで見るのが実用的です。
とくに硬床中心ならソフトローラー系、カーペット中心ならトルクドライブ系のヘッド特性が仕上がりを左右します。
同じモデルでも付属ヘッド構成が違えば印象が変わるため、購入前にチェックしておくと失敗が減ります。
- AW（総合力）とkPa（圧力）の違いを理解する。
- 密閉／非密閉、ヘッド有無で結果は大きく変わる。
- 掃除面（硬床／カーペット）に合うヘッドを選ぶ。
- モード設定で吸引と運転時間のバランスを取る。
- フィルタやダストビンのメンテで性能を維持する。
代表値の早見表
ここでは代表的な条件の違いによる数値の目安を簡潔に示します。
| 条件 | 目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 密閉（sealed） | 〜30kPa前後（機種依存） | 理想条件。実使用より高い数値になりやすい。 |
| 非密閉（unsealed） | 15〜18kPa（コードレス） | 実使用に近い。床材・ヘッドで変動。 |
| コード付きアップライト | 20kPa台中盤 | Ball Animal系の例で約25kPa前後。 |
上記は複数レビューを束ねた一般的なレンジであり、個体差や床環境で上下します。
ダイソンの選び方に落とし込む
最終的には「Paの高さ」だけでなく、AW、ヘッド、重量、運転時間、メンテ性、価格といった複合要素で自分の家に最適化するのが実利的です。
ここでは代表的なシーン別の指針を示します。
Paを知ることは有用ですが、体感の差はヘッドや気流設計、集じんの最適化で大きく変わる点を意識しましょう。
用途別の考え方
住環境と床材で必要条件は変わります。
硬床中心で微細粉じんが気になるなら、フラフィー系ヘッドの視認性（レーザー）と密閉性が活きます。
カーペット中心なら、ブラシのかき出し力と自動モードの最適化が有利です。
- ワンルーム・硬床中心：軽量V12系＋フラフィー。
- 戸建・混在床：V15/Gen5系＋自動モード対応ヘッド。
- 毛の多いペット：トルクドライブ＋毛絡み対策ツール。
- 長時間運転重視：中モード中心で運用、替えバッテリー活用。
- 最大吸引を最重視：コード付き（Ball Animal系）も検討。
モデル別の性能感
数値の目安と使い勝手を、よく比較されるモデルで整理します。
Gen5 DetectはAWが最強クラス、V15は高出力と実使用の最適化バランスが秀逸、V12は軽量で取り回し重視という棲み分けです。
| モデル | 特徴 | 公称AW | 実測kPaの目安 |
|---|---|---|---|
| Gen5 Detect | 最新世代で高出力・高機能 | 約262AW | —（公的kPaは限定的） |
| V15 Detect | 自動最適化と可視化で実用性高 | 約230〜240AW | 密閉〜31kPa／非密閉〜17.6kPa |
| V12 Detect | 軽量で取り回し重視 | 約150AW | 〜18kPa前後 |
用途に合う「総合最適」を優先すれば、満足度は高くなります。
購入前のチェック
最後に、数値だけでなく後悔を防ぐ確認ポイントをまとめます。
吸引モードの使い分け、付属ツール、交換フィルタやバッテリーのコストも事前に把握しておきましょう。
- AWと運転時間のバランス（ブースト常用は不可）。
- 床材に合うヘッドの有無。
- 本体重量と取り回し（掃除頻度との相性）。
- メンテ頻度（フィルタ洗浄・ダストビン清掃）。
- 保証やサポート、消耗品の入手性。
よくある疑問に答える
ここでは「Paで何Pa？」という素朴な疑問から、AWとの違い、換算できるのか、といった質問に端的に答えます。
結論としては「ダイソンはAW表記が前提、Paは第三者参考値で目安」という理解でOKです。
何Paかの答え
ダイソン公式はPaを公表していません。
第三者計測では、コードレスで非密閉時15〜18kPa前後、密閉で30kPa前後、コード付きで20kPa台中盤の例が多い、というのが現実的な答えになります。
この幅は条件差によるもので、実際の掃除体感はヘッドやAW、気流設計にも影響されます。
したがって「何Pa？」はあくまで目安ととらえ、モデル選びの参考材料の一つとして活用しましょう。
AWとの違い
AWは圧力（Pa）と流量（CFMなど）の積に相当し、集じんの実力を総合的に示します。
Paは圧力の単位で、密閉条件では高く、実使用では下がります。
同じPaでも流量が伴わなければゴミを運べず、逆にAWが高ければ実掃除では強さを感じやすい、という関係です。
| 指標 | 意味 | 長所 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| AW | 圧力×流量の仕事率 | 実用性に近い総合力 | メーカー間で測定法が異なる場合 |
| Pa | 吸い込み圧の強さ | 条件を揃えれば比較しやすい | 実使用との差が出やすい |
両者は補完関係にあり、片方だけでは判断を誤りやすい点に注意しましょう。
換算は可能か
AWとPaは物理量が異なるため、一般に一意に換算できません。
同じAWでも流量が違えばPaは変わるため、単純な式で置き換えるのは不正確です。
このためダイソンはAWを前提に説明し、Paの公表は行っていないと理解しておくのが妥当です。
- AW⇄Paの単純換算はできない。
- レビューのPaは条件付きの参考値。
- 最終判断はAWと使い方の総合で。
この記事の要点をひとまとめ
ダイソンの吸引力をPaで知りたい人向けに、前提と目安、選び方のコツを整理しました。
公式はAW表記で、Paは第三者の参考値という関係を踏まえつつ、自分の床環境と使い方に合うモデルを選ぶのが満足への近道です。
代表例として、V15 Detectは密閉約31kPa／非密閉約17.6kPa、V12/V10は最大ホースで約16〜18kPa、Ball Animal 3 Extraは約24.8kPaという実測があります。
数値は条件で変動するため、AW・ヘッド・運転時間・重量なども合わせて比較しましょう。
